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こんにちは!息子が生まれてから、子供が頑張っている姿を見るだけで泣けてしまう管理人です。
病気や障害のありながら頑張っている子たちも、それを応援したり支えたりしている人たちも、本当に尊敬します。
今回ご紹介する陳隆明(ちんたかあき)さんは、最先端の医療として取り組みが進んでいるロボット医療のスペシャリストです。
リハビリにロボットテクノロジーを導入して、四肢欠損など身体に障害のある人をサポートしています。
障害のある子どもたちに対して、その障害を乗り越える手助けをされている、本当に素敵な方なんです。
そんな陳隆明さんと、深く関連する2人の男の子と女の子について、今回はご紹介いたします。
陳隆明(ちんたかあき)の経歴は?
陳隆明さんの現在の肩書きは以下の通り、複数あります。
社会福祉法人 兵庫県社会福祉事業団 兵庫県立リハビリテーション中央病院 中央病院参事兼ロボットリハビリテーションセンター長・リハビリテーション科部長
福祉のまちづくり研究所長
日本整形外科学会認定整形外科専門医
日本リハビリテーション医学会認定 リハビリテーション科専門医
国際義肢装具協会日本支部会長
神戸大学客員准教授
大学の卒業年度は昭和61年です。
専門資格などは以下の通りです。
日本リハビリテーション医学会認定リハビリテーション科指導責任者
日本リハビリテーション医学会認定リハビリテーション科専門医
日本リハビリテーション医学会認定リハビリテーション科認定臨床医
日本整形外科学会認定整形外科専門医
厚生労働省主催義肢装具等適合判定医師研修会講師
義肢装具等適合判定医師
神戸大学客員准教授
兵庫県立身体障害者更生相談所嘱託医
身体障害者福祉法第15条指定医
難病指定医
専門領域は「切断・義肢・装具」、「脊髄損傷」、「ロボットリハビリ」です。
ご専門である義肢装具学について、陳隆明さんが参加されている本が出版されていますのでご紹介しておきます。(さすがは専門書、という値段です。。。)
義肢装具学第4版 [ 川村次郎 ]
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神陽喜(かみはるき)くんと筋電義手
1月1日生まれ、2017年現在7歳、奈良県生駒市に住んでいる神陽喜くんには、生まれつき左腕のひじから先がありません。
「先天性左前腕欠損」という障害なのです。
現在、陳隆明さんが勤めている兵庫県立リハビリテーション中央病院で小児筋電義手の訓練を受けています。
幼稚園の頃には「皆と同じように、パーの手がしたい」と泣きながら訴えました。
左手が無いことで、幼稚園の工作が思うようにできなかったことが本当に悔しかったのです。
また、6歳の冬には、幼稚園の縄跳び大会の練習で苦戦し、やはり「なぜ僕には左手がないんだ。。。この手をもうやめたい」とお母様である麻依子さん(32)に向かって号泣しました。
「どうして僕には左手がないの?」と泣きじゃくる陽喜君に対して、「陽喜は陽喜でいいのよ。他人とは比べなくていいんだよ」、となぐさめる麻衣子さんも、思わず涙が溢れたそうです。。。
そんな陽喜君を支えているのが、陳隆明さんらが力を入れている「筋電義手」です。
筋電義手とは、筋肉の微弱な電気を読み取って、自分の意志で指を動かすことができる、いわゆる「ロボットハンド」です。
神陽喜くんにとって筋電義手は「ぎーちゃん」と呼ぶほど「大切な友達」なんです。
それは、義手に神陽喜くんが大好きな電車のイラストを書いていることからも分かります。
この筋電義手のおかげで、工作や縄跳びなどが以前よりスムーズにできるようになりました。
しかし、筋電義手は非常に高額ですので、簡単には届けることができません。
価格はなんと1台150万円もするそうです。大事な手ですし、最先端の医療技術が詰まっている訳ですから、当然なのかもしれませんが。。。
また、訓練には医療保険が適用されない、という点も普及を妨げる原因の1つとなっています。
そこで、神陽喜くんの主治医でもある陳隆明さんは「1人でも多くの子どもたちに筋電義手を届けたい」という思いから行動を起こします。
寄付金や兵庫県の補助金を集め、筋電義手を購入し、義手を必要とする子どもたちに対して無償で貸し出す「小児筋電義手バンク」を立ち上げます。
ちなみに、筋電義手(小児)の訓練施設は、全国にたった3カ所しかないそうです。
現在、陳隆明さんが勤めている兵庫県立リハビリテーション中央病院には25人の子どもたちが「小児筋電義手バンク」の義手を使って訓練に励んでいます。
筋電義手をロボットハンドと言ってしまうと、付ければ誰でもすぐに使えるような印象を受けますが、使いこなせるようになるにはかなりの訓練やリハビリが必要です。
そのために、高額である筋電義手を複数で共有するというのは非常に効果的だなと感じました。
太田望遥(おおたみはる)ちゃんが教えてくれる問題点
太田望遥ちゃんは現在、管理人の住む宮崎県のお隣である熊本県に住んでいる神陽喜くんと同い年、7歳の女の子です。
彼女も神陽喜くんと同様、先天性左前腕欠損で、生まれつき左腕の肘から先がありません。
なんと、ピアノを右手の指5本と左手の1本で練習されているそうです。
障害があるからしない、できない、と簡単に諦めない姿勢が本当に凄いですね。
そんな太田望遥ちゃんが神陽喜くんと違うのは、筋電義手を持っていないということです。
小学校入学直前の太田望遥ちゃんも、3歳の頃の神陽喜くんのように「パーのお手々と交換したい」と涙ながらに訴えます。
そして2016年の夏、陳隆明さんが勤めている兵庫県立リハビリテーション中央病院を訪ね、神陽喜くんが受けている小児筋電義手の訓練を見学します。
太田望遥ちゃんにとっては、生きる希望が湧くような体験でした。
しかし、ご両親にとっては、若干複雑な気持ちもありました。
先ほども述べた通り、筋電義手の訓練施設は、全国にたった3カ所しかないのです。
太田望遥ちゃんとご両親が住む熊本県、そして九州には、残念ながら訓練施設はありません。
さらに、高額であるという点もあり、全国に1,000人以上いると言われている先天性左前腕欠損の子どもに対して一向に普及が進んでいないのが現状です。
筋電義手の普及へ制度の見直しが必要
陳隆明さんや関係者は、小児筋電義手を普及させるために、厚労省へ公的支援を訴えるなど、制度を改正するために働きかけをされています。
塩崎厚労相も厚生労働委員会の中で「小児筋電義手の環境整備をしっかりやっていきたい」と発言されましたが、具体的な目途は立っていないのが現状です。
生まれつき手がない子達に、手を与えることができる 筋電義手。
それは、単純に手を与えるだけでなく、夢を与えることでもあります。
神陽喜くんはパラリンピックに水泳選手として出場したいという夢を持っているそうです。
ピアノの練習に励む太田望遥ちゃんも、筋電義手を手に入れることができたなら、やはりこれまで以上に夢に向かってまっすぐ生きていかれることでしょう。
そんな子供達のために奮闘する陳隆明さんを、ハジメテトピックスは全力で応援します。